拾年先の折は

言葉の言枝の言幹の言根の植わった土を翻訳するために。

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友人のKYさん宅で開かれるゲーム大会、というか鍋会にSとともに参加。Uさんのゲームキューブスマブラ大会をするので各自コントローラを準備するようにとのことで、めいめい千円ほどの出費をして臨む気に入りようだったが、肝心のスマブラのディスクを何度セットし直しても読み込まない。これで意気を挫かれて、ゲーム大会はやむなく中止で、ただの鍋会に。食材はマルイの食品売り場で買い込んだ。あんこう鍋と水炊きの二種類の鍋を作ることになったので、ぼくがアンコウ鍋を担当し、大洗で食べ損ねていた「どぶ汁」を試してみることにした。アンコウ鍋用のパック二つにあん肝のパックを追加し、さらに具材にアブラツノザメの肉を加えた。まずあん肝を弱火でとろかす。これはSにやってもらった。とけた肝に味噌と酒を加えてのばし、刻んだ白菜とネギをいれる。水分は白菜から出る分だけで賄うのがポイントらしい。もともと福島から千葉にかけての太平洋沿岸の漁師たちが体を温める漁師料理なのだから、海上で貴重な飲み水は極力セーブするのが理にかなっている。白菜から水が出てきたらアンコウとサメの身のぶつ切りを入れて、煮えるのを待つ。たったこれだけの手間だがすこぶるうまい。あっという間になくなる。残った出汁はほうとう用に取っておいて、つぎに水炊きを食べたのに、その味はあまり覚えていないというほど「どぶ汁」のインパクトが強かった。満腹だったがほうとうを詰め込む。これも格段にうまい。KYさんは年明けに引越しをするそうだから、現在のアパートを訪れるのは今日が最後だろう。次の部屋はさらに広いらしい。酒は神奈川の地酒とボジョレーを飲んだ。酒の会計時に荷物持ちで離れていたから、ボジョレーも安いものを買ったとばかり思っていたのに、そこそこ値の張るものを買っていたらしい。知らずに飲んでしまうとありがたみが減る。飲みやすくまとまった味だったのは覚えているが。引越しのときに捨てるそうだから、哲学辞典を引き取る予約をし、「ジキルとハイド」の少し古い対訳本をもらってきた。

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