拾年先の折は

言葉の言枝の言幹の言根の植わった土を翻訳するために。

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初雪。朝七時ごろ、夜が明けて窓外が明るくなったかと思えば雨音も幾分静まっていて、霙がぼたぼた落ちるなかに、成型された結晶が少しばかり余計に空気抵抗を受けてひらひらというよりはすいっと動く、そういう風な雪が混じっていた。十一月中の東京の降雪は五十四年ぶりらしい。すると、むこう五十年はないものかもしれないと思えば、一句読んでおきたくもなる。ぽつねんと一句だけでは見すぼらしので、三句の連作にした。

 

ゆきのふる夜まっくらな夜

雪吸って黒黒光るアスフアルト

しんともこんともせん雪見て寝る

 

一昨年の(ほんとうに一昨年か、昨年も降ったのにあまり覚えていない)東京の初雪のときに撮ったスナップ。未だこのとき以上の瞬間はない。

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言葉の言枝の言幹の言根の植わった土を翻訳するために。