拾年先の折は

言葉の言枝の言幹の言根の植わった土を翻訳するために。

グイエ 終

しばらく読んだり読まなかったりしていたグイエの演劇論を無理やりまとめる。

 

役と俳優の二つの人格を観客が同時に眼差すことを看破する第4章と、その思考の極点として展開されるマリオネット論。

人形は俳優と姿形を共有しないが、俳優の「行動」は人形をもって受肉化する。演技が行動にもたらすこの「振れ幅」を観客は享受する。

 

第5章では役を人格と類型で区別し、劇および悲劇が根ざすのが登場人物の固有の人格と個人史であり、またそれらへの観客の共感であると置く一方で、

共感を遮断する類型の発露、個人史を喪失し喜劇誕生(上演)の度に何度でも新たな生を生きる類型の偏在に喜劇を成立させる本質があると定義する。

ハムレットは悲劇の個人史だが、ハムレットのような男がそこにいれば、それは喜劇である。

言葉の言枝の言幹の言根の植わった土を翻訳するために。