拾年先の折は

言葉の言枝の言幹の言根の植わった土を翻訳するために。

ぎりぎり

拾月二日の更新を跡づける。

本ブログは追記あり修正ありのアーカイブスですので。
 

その声は鳩舎から

海溝から廃炉から

響いてくる

わたしは吽のしっぽの付け根のあたりを噛み切った

口蓋と舌頭の間で

跳ね回るしっぽ

その言い難い柔和さ

極細の骨の配列

歯の裏を叩く

 

またその声は車轍から

毛氈から衛星から

わたしは意地悪く聞く

目にも見えない耳をどうして信じる

吽のしっぽが活を失ってぐったりすると

舌面をうまく傾けて喉元へ唾液の流れを作る

しっぽは最期に飛び上がる

それは手遅れ

分水嶺まで流されて

すれ違いになった二疋目の吽を卑怯に見やる

胃袋に落ちたしっぽのぽちゃんという音を

蠅を払うかのように

吽はしっぽで一振りする

 

「幼牛」

 
言葉の言枝の言幹の言根の植わった土を翻訳するために。