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拾年先の折は

言葉の言枝の言幹の言根の植わった土を翻訳するために。

拾月である

おりはの拾年はここから始まる。

 

声は燃えて灰になった

語から溢れて焼却台にばさばさと落ちた

誰も手を伸ばさないまま

やがて焼却台からもこぼれた灰は

回転し漸進し床材の間隙を伝い

雪の激しく気化するように

光の粒とぶつかって消尽する

それは唯一ほんとうの素材

風を作り風に散る

語に残った灰は腐りだす

呑み下した喉が糜爛する

捨てて、そんなのいらないから

声の灰を吹き散らす風は

千本の針を孕んで第三星霜の少し下

魚の骨のように枝分かれし

1月3日に糸を離れた私の声は

いまどの宇宙に吹き上げられている?

 

 「火葬」

 

言葉の言枝の言幹の言根の植わった土を翻訳するために。